1.1. 急性副作用

定義: 造影剤投与後1時間以内に発現する副作用

分類

軽度
悪心、軽度嘔吐
じんま疹
掻痒感
中等度
重度嘔吐
著明なじんま疹
気管支痙攣
顔面/喉頭浮腫
血管迷走神経発作
重度
低血圧ショック
呼吸停止
心停止
痙攣

1.1.1 ヨード造影剤の急性副作用

急性副作用の危険因子

患者関連
以下の病歴がある患者:
  • 過去にヨード造影剤に対して中等度ないし重度 の急性副作用(前記の分類を参照)を発現
  • 喘息
  • 治療を要するアレルギー
造影剤関連
  • 高浸透圧イオン性造影剤

高浸透圧イオン性造影剤

すべての患者 に対する措置
  • 非イオン性造影剤を使用する。
  • 造影剤投与後30分間は患者を放射線部門に留め
  • 救急蘇生用の薬剤や装置をすぐに使えるよう準備しておく(1.1.3. を参照)。
副作用の発現リスクが高い患者(前記の危険因子を参照)に対する措置
  • ヨード造影剤を必要としない他の検査法を検討する。
  • 造影剤の副作用歴がある患者では別の種類のヨード造影剤を使用する。
  • 薬剤の前投与を検討する。薬剤前投与の有効性 に関する臨床エビデンスは限られている。薬剤 前投与を行う場合は、造影剤投与の12および2 時間前にプレドニゾロン30mg(またはメチルプレドニゾロン32mg)の経口投与が適当である。
ヨード造影剤 の血管外投与
血管内への吸収や漏入が考えられる場合は、血管 内投与の場合と同様の措置をとる。

1.1.2 ガドリニウム造影剤の急性副作用

注: ガドリニウム造影剤による急性副作用の発現リスクは、ヨード造 影剤の場合よりも低いが、重篤な副作用が発現する可能性がある

急性副作用の危険因子

患者関連
以下の病歴がある患者:
  • 過去にガドリニウム造影剤に対して急性反応を発現
  • 喘息
  • 治療を要するアレルギー
造影剤関連
副作用発現リスクは造影剤の浸透圧とは無関係で ある:低用量では浸透圧負荷が極めて小さい。

急性副作用のリスクを低減するための措置

すべての患者 に対する措置
  • 造影剤投与後30分間は患者を放射線部門に留め る。
  • 救急蘇生用の薬剤や装置をすぐに使えるよう準 備しておく(1.1.3. を参照)。
副作用の発現リスクが高い患者(前記の危険因子を参照)に対する措置
  • ガドリニウム造影剤を必要としない他の検査法を検討する。
  • 造影剤の副作用歴がある患者では別の種類のガドリニウム造影剤を使用する。
  • 薬剤の前投与を検討する。薬剤前投与の有効性 に関する臨床エビデンスは得られていない。薬 剤前投与を行う場合は、造影剤投与の12および 2時間前にプレドニゾロン30mg(またはメチルプレドニゾロン32mg)の経口投与が適当である。

1.1.3 管理

検査室に準備しておくべき緊急一次治療用の薬剤および装置

酸素
アドレナリン1mg/mL
ヒスタミン H1拮抗薬─注射に適している
アトロピン
β2刺激薬定量噴霧式吸入器
輸液製剤─生理食塩水またはリンゲル液
抗痙攣薬(ジアゼパム)
血圧計
一方向弁付き呼吸装置

すべての造影剤による急性副作用に対する第一選択治療のためのガイドライン

ヨード造影剤・ガドリニウム造影剤と超音波造影剤では同様の副作用 が認められる。副作用発現頻度が最も高いのはヨード造影剤、最も低 いのは超音波造影剤である。

悪心/嘔吐
一過性: 一過性
重度、持続性: 適切な制吐剤の使用を検討

じんま疹
散在性、一過性:経過観察を含む対症療法
散在性、持続性:適切なヒスタミン H1拮抗薬の筋肉内投与または静脈内投与を検討傾眠および/または低血圧が発現する可能性あり
全身性:適切なヒスタミン H1拮抗薬を筋肉内投与または静脈内投与、 傾眠および/または低血圧が発現する可能性ありアドレナリン1mg/mL の筋肉内投与(成人では、0.1〜0.3mL [0.1〜0.3mg]、小児では、6〜12歳に対し成人量の半量、6 歳未満に対し成人量の25%)を検討、必要に応じて反復投与

気管支痙攣

  1. マスクによる酸素吸入(6〜10L/分)
  2. β2刺激薬定量噴霧式吸入器(2〜3回の深吸入)
  3. アドレナリン

血圧が正常の場合
筋肉内投与:1mg/mL、0.1〜0.3mL(0.1〜0.3mg)[冠動脈疾患患 者および高齢患者には少量投与] 小児:6〜12歳には成人量の半量、6歳未満には成 人量の25%を投与 必要に応じて反復投与br />
血圧低下がみられる場合
筋肉内投与:1mg/mL、0.5mL(0.5mg)
小児:6〜12歳には0.3mL(0.3mg)を筋肉内投与
< 6歳未満には0.15mL(0.15mg)を筋肉内投与

咽頭浮腫

  1. マスクによる酸素吸入(6〜10 L/分)
  2. 成人:アドレナリン1mg/mL、0.5mL(0.5mg)を筋肉内投与、必要に応じて反復投与

小児:6〜12歳には0.3mL(0.3mg)を筋肉内投与
< 6歳未満には0.15mL(0.15mg)を筋肉内投与

低血圧
低血圧のみ

  1. 下肢拳上
  2. マスクによる酸素吸入(6〜10 L/分)
  3. 静脈内輸液投与:生理食塩水またはリンゲル液を迅速に投与
  4. 無効の場合:アドレナリン1mg/mL、0.5mL(0.5mg)を筋肉内投与、必要に応じて反復投与
    小児:6〜12歳には0.3mL(0.3mg)を筋肉内投与
    < 6歳未満には0.15mL(0.15mg)を筋肉内投与

血管迷走神経反射(低血圧および徐脈)
  1. 下肢拳上
  2. マスクによる酸素吸入(6〜10 L/分)
  3. 成人では、アトロピン0.6〜1.0mg を静脈内投与し、必要に応じて3〜5分後に総投与量3mg(0.04mg/kg)まで反復投与 小児では、アトロピン0.02mg/kg(最大0.6mg/回)を静脈内投与し、必要に応じて計2mg まで反復投与
  4. 静脈内輸液投与:生理食塩水またはリンゲル液を迅速に投与

全身性アナフィラキシー様反応

  1. 救急蘇生チームの応援を要請
  2. 必要に応じ、気道吸引
  3. 低血圧がみられる場合、下肢拳上
  4. マスクによる酸素吸入(6〜10 L/分)
  5. 成人では、アドレナリン1mg/mL、0.5mL(0.5mg)を筋肉内投与し
    必要に応じて反復投与
    小児:6〜12歳には0.3mL(0.3mg)を筋肉内投与
    6歳未満には0.15mL(0.15mg)を筋肉内投与
  6. 静脈内輸液投与(生理食塩水、リンゲル液など)
  7. H1拮抗薬(ジフェンヒドラミン25〜50mg 静脈内投与など)

1.2 遅発性副作用

定義
ヨード造影剤の静脈内投与後1時間〜1週間に発 現する副作用
副作用
他の薬疹と同様な皮膚反応で、斑点状丘疹、紅斑、 腫脹および掻痒が最もよくみられる。大部分の 皮膚反応は軽度ないし中等度で、自然治癒する。

造影剤投与後にさまざまな遅発性症状(悪心、嘔 吐、頭痛、筋骨格系疼痛、発熱など)が報告され ているが、多くは造影剤とは無関係である。
皮膚反応の危険 因子
  • 造影剤の遅発性副作用歴
  • インターロイキン-2治療
  • 非イオン性ダイマー型造影剤
管理
対症的管理、他の薬剤による皮膚反応の管理と同 様(ヒスタミン拮抗薬、局所ステロイド薬、皮膚軟 化薬など)
勧告
造影剤の副作用歴がある患者およびインターロ イキン-2を投与中の患者に対し、遅発性皮膚反 応が発現する可能性があることを伝え、問題が 発生した際には受診するよう勧める。
造影剤に対する遅発性皮膚反応を確認するとと もに他剤との交差反応性を調べるには、パッチ テストおよび皮内テスト(遅延型反応の判定)が 有用である可能性がある。
副作用の再現リスクを軽減するため、初回の副 作用をもたらした造影剤以外の造影剤を用いる こと。皮膚試験で交差反応性が認められた造影 剤の使用は避けること。
予防薬の投与は一般的には推奨されない。

注: ガドリニウム造影剤および超音波造影剤では、ヨード造影剤投与後に発現する皮膚症状を呈するタイプの遅発性副作用は報告されていない。

1.3 超遅発性副作用

定義:通常、造影剤投与から1週間以上経過した後に発現する副作用

定義:通常、造影剤投与から1週間以上経過した後に発現する副作用

副作用の種類

ヨード造影剤
甲状腺中毒症
ガドリニウム 造影剤
腎性全身性線維症

1.3.1 甲状腺中毒症

リスクあり
  • 未治療のグレーブス病患者
  • 多結節性甲状腺腫があり甲状腺の自律性亢進がみられる患者(特に、高齢、食事中ヨウ素含量が 低い地域に居住の両方、またはいずれかに該当 する患者)
リスクなし
甲状腺機能が正常の患者
勧告
  • 顕性甲状腺機能亢進症の患者にはヨード造影剤 を投与しないこと。
  • 顕性甲状腺機能亢進症の患者にはヨード造影剤 を投与しないこと。
  • 一部の高リスク患者では、内分泌専門医による特に、食事中ヨウ素含量が低い地域の場合)。
  • 造影剤投与後、リスク患者では内分泌専門医による厳密なモニタリングを行う。
  • 経静脈性胆管造影剤は、リスク患者に投与しないこと。

1.3.2 腎性全身性線維症

腎性全身性線維症(NSF)の診断は、米国エール大学 NSF レジストリ (J Am Acad Dermatol 2011; 65: 1095-1106)の臨床的・組織病理学的 診断基準に合致した場合のみとする。NSF とガドリニウム造影剤との関連が認識されたのは2006年である。

NSF の臨床像
発症時期: 投与当日から2〜3ヵ月の間、ときに 数年後の場合もある。

初期
  • 疼痛
  • 掻痒感
  • 腫脹
  • 紅斑
  • 一般的に下肢より生じる。

経過
  • 皮膚および皮下組織の肥厚(「木」のような感触、硬化斑を伴う)
  • 内部器官(筋、横隔膜、心臓、肝臓、肺など)の線維化

転帰
  • 拘縮
  • 悪液質
  • 死亡(一定の率で起こる)

患者

高リスク
  • CKD4および CKD5(GFR< 30mL/分)の患者
  • 透析患者
  • 急性腎機能不全の患者
低リスク
KD3(GFR 30〜59mL/分)の患者
NSF のリスク なし
GFR>60mL/ 分で安定している患者

造影剤:

臨床検査データに基づいたリスク分類および勧告

NSF のリスク が高い

造影剤
ガドジアミド(オムニスキャン®)
  • リガンド:非イオン性直鎖状キレート(DTPA-BMA)
  • NSF の発症率:リスク患者において3〜18%

ガドペンテト酸ジメグルミン(マグネビスト®)
  • リガンド:イオン性直鎖状キレート(DTPA)
  • NSF の発症率:リスク患者において推定0.1〜1%

Gadoversetamide(Optimark ®:本邦未販売)
  • リガンド:非イオン性直鎖状キレート(DTPA-BMEA)
  • NSF の発症率:不明
勧告
以下の患者に対するこれらの造影剤の使用は禁忌 である。
  • CKD 4およびCKD (5 GFR< 30mL/分)の患者(透析患者を含む)
  • 急性腎機能不全の患者
  • 妊婦
  • 新生児

以下の患者では慎重に使用すること。
  • CKD 3(GFR 30〜60mL/分)の患者
    投与間隔は7日以上とする。
  • 1歳未満の乳児

授乳婦:投与後24時間は授乳をせず、母乳は廃棄すること。

投与前の血清クレアチニン(eGFR)値の測定およ び臨床的評価: 必須

検査1回あたりの投与量は0.1mmol/kg を超えな いこと。

NSF のリスク が中程度

造影剤
・造影剤Gadobenate dimeglumine(Multihance®:本邦未販 売)
  • リガンド:イオン性直鎖状キレート(BOPTA)
  • NSF の発症率:混用されていない症例*では報告されていない。
  • 特記すべき特徴:細胞外液性造影剤と肝特異性造影剤の特性を併せ持ち、蛋白結合率は2〜 3%。通常の細胞外液性ガドリニウム造影剤の 半分の用量で同レベルの診断結果が得られる。 最大4%が肝で代謝される。

Gadofosveset trisodium(VasovistR , Ablavar®:本 邦未販売)
  • リガンド:イオン性直鎖状キレート(DTPA-DPCP)
  • NSF の発症率:混用されていない症例*では報告されていないが、使用例数が限られている。
  • 特記すべき特徴:アルブミン親和性(>90%)を 有する血液プール造影剤。細胞外液性ガドリニ ウム造影剤の半分の用量で同レベルの診断結果 が得られる。生物学的半減期は細胞外液性造影 剤と比べて12倍長く(1.5時間に比して18時間)、

ガドキセト酸ナトリウム(プリモビストR,Eovist®) リガンド:イオン性直鎖状キレート(EOB-
  • NSF の発症率:混用されていない症例*では報告されていないが、使用例数が限られている。
  • 特記すべき特徴:蛋白質に10%が結合し、50% が肝細胞で代謝される臓器特異性ガドリニウム 造影剤。細胞外液性ガドリニウム造影剤よりも低用量で同レベルの診断結果が得られる。
勧告
以下の患者では慎重に使用すること。
  • CKD 4および CKD 5(GFR< 30mL/分)の患者
    投与間隔は7日以上とする。

妊婦:
診断情報が不可欠な場合のみ

授乳婦: 造影剤投与後24時間以内の母乳を廃棄す べきか否かは担当医と相談すること。

腎機能検査(eGFR 値の測定): 必須ではない血清クレアチニン値を測定しない場合は問診票に よる腎機能評価を行うこと。

NSF のリスク が低い

造影剤
Gadobutro(lGadovistR,GadavistR:本邦未販売)
  • リガンド:非イオン性環状キレート(BT-DO3A)
  • NSF の発症率:混用されていない症例*での報告がいくつかあるが、組織病理学的変化につい

ガドテル酸メグルミン(DotaremR,マグネスコープ®)
  • リガンド:イオン性環状キレート(DOTA)
  • ガドテリドール(プロハンス®)

ガドテリドール(プロハンス®)
  • リガンド:非イオン性環状キレート(HP-DO3A)
  • NSF の発症率:混用されていない症例*では報告されていない。
勧告
以下の患者では慎重に使用すること。
  • CKD 4および CKD 5(GFR< 30mL/分)の患者 投与間隔は7日以上とする。

妊婦:
診断情報が不可欠な場合のみ

授乳婦: 造影剤投与後24時間以内の母乳を廃棄す べきか否かは担当医と相談すること。

腎機能検査(eGFR 値の測定): 必須ではない血清クレアチニン値を測定しない場合は問診票に よる腎機能評価を行うこと。
NSF 患者
ガドリニウム造影剤の使用は必須と判断される場 合のみとし、NSF リスクが中程度または低い造影 剤を用いること。
 すべての患者 に対する勧告
造影 MRI 検査は、その臨床的適応が十分にあると 判断される場合には控えることなく必ず行うこと。 すべての患者において、診断結果を得るのに必要 な最低用量で使用すること。 造影剤を使用する際には、造影剤名、投与量の記 録を常に残すこと。

*混用例: 2種類のガドリニウム造影剤が注入された症例の場合、ど ちらの造影剤が NSF の発症原因であるか確定することができない ため、このような症例は「混用例」と表現した。

非混用例: 過去に使用したガドリニウム造影剤が1種類のみである 症例

定義:造影剤腎症(CIN)とは、造影剤の血管内投与後3日以内に腎機 能低下が発現し、他に原因となるものがない状態。血清クレア チニン値が25%以上または44μmol/L(0.5mg/dL)以上上昇した 場合は CIN が示唆される。

2.1 ヨード造影剤による腎臓の副作用

造影剤腎症の危険因子

患者関連
  • 動脈内投与前の eGFR<60mL/分/1.73m2
  • 静脈内投与前の eGFR<45mL/分/1.73m2
  • 以下の要因を複数有している場合
    • 糖尿病性腎症
    • 脱水
    • うっ血性心不全(NYHA分類III〜IV度)および LVEF 低下
    • 心筋梗塞発症直後(< 24時間)
    • 大動脈内バルーンポンプ留置
    • 造影剤投与前後の低血圧
    • ヘマトクリット低値
    • 年齢>70歳
    • 腎毒性を有する薬剤の併用投与
  • 急性腎不全もしくはその疑い
造影剤関連
  • 造影剤の動脈内投与
  • 高浸透圧造影剤
  • 造影剤の大量投与
  • 2〜3日の短期間に複数の造影剤を投与

2.1.1 紹介受診時

待機的検査

腎機能評価が必要な患者を特定する

    造影剤投与の7日以内に eGFRまたは血清クレアチニン)値を測定する。
  • 既知の eGFR<60mL/分/1.73m2 造影剤投与の7日以内に eGFR の患者
  • 造影剤動脈内投与を予定している 測定する。 患者
  • 年齢>70歳
  • 以下の病歴がある患者:
    • 腎疾患
    • 腎手術
    • 蛋白尿
    • 糖尿病
    • 高血圧
    • 痛風
    • 腎毒性薬物の最近の投与

緊急検査

可能な限り、リスクを有する患者(前記参照)を特定する:
  • 測定結果が出るまで検査を延期しても患者の利益に反しないのであ れば、eGFR 値を測定する。
  • eGFR 値が得られない場合、臨床状況が許す限り、eGFR<60mL/ 分/1.73m2の動脈内投与患者、eGFR<45mL/分/1.73m2の静脈内投 与患者に対するプロトコルに厳密に従う。

2.1.2 検査前

待機的検査

リスクを有する患者 (前記参照)
  • ヨード造影剤を使用しない他の画像検査法を検討する。
  • 腎毒性を有する薬剤の使用中止の 必要性について紹介医と相談す る。
  • 輸液を開始する。造影剤投与前後 の少なくとも6時間にわたって 生理食塩水を1.0〜1.5mL/kg/時 間の速度で点滴投与するのが適 当である。また、炭酸水素ナト リウム(154mEq/L 5%グルコー ス溶液)を造影剤投与1時間前に 3mL/kg/時間の速度で、撮像後 は6時間にわたって1mL/kg/時 間を点滴投与する方法もある。

緊急検査

リスクを有する患者 (前記参照)
  • ヨード造影剤を使用しない他の画像検査法を検討する。
  • 造影剤投与前のできるだけ早い段 階で輸液を開始する(待機的検査 を参照)。

2.1.3 検査時

リスクを有する患者 (前記参照)
  • 低浸透圧または等浸透圧の造影剤を使用する。
  • 診断に必要な最低用量で使用する。
リスク上昇がない患者
  • 診断に必要な最低用量で使用する。

2.1.4 検査後

リスクを有する患者
  • 輸液を継続する。
  • 造影剤投与の48〜72時間後にeGFR 値を測定する。

注: 予防薬腎血管拡張薬、内因性血管作動物質受容体拮抗薬、サイ トプロテクション作用を有する薬剤)に関しては、いずれも造影 剤腎症に対する確実な予防効果は証明されていない。

2.2 ガドリニウム造影剤による腎臓の副作用

MR 検査

  • ガドリニウム造影剤の腎毒性のリスクは、承認用量で用いれば極め
  • 腎機能低下患者については1.3.2. を参照

X 線検査

  • 腎機能障害のある患者では X 線検査にガドリニウム造影剤を使用 しないこと。
  • 同じ X 線吸収能を示す用量では、ガドリニウム造影剤はヨード造 影剤よりも腎毒性が高い。

2.3 メトホルミン投与中の患者

2.3.1 ヨード造影剤

  1. eGFR≧60mL/分/1.73m(2 CKD 1または2)の場合、メトホルミンの 継続投与が可能
  2. eGFR 30〜59mL/分/1.73m(2 CKD 3)の場合
    1. eGFR≧45mL/分/1.73m2で造影剤の静脈内投与を受ける患者の場合、メトホルミンの継続投与が可能
    2. 造影剤の動脈内投与を受ける患者、eGFR 30〜44mL/分/1.73m2で造影剤の静脈内投与を受ける患者では、造影剤の投与48時間 前から48時間後までメトホルミンの投与を中止する。48時間後 に腎機能の悪化を認めない患者に限り、メトホルミン投与を再 開する。
  3. eGFR<30mL/分/1.73m(2 CKD 4または5)の患者、肝機能低下や低 酸素症をもたらす併存疾患を有する患者にはメトホルミンの投与は
  4. 緊急検査の場合、造影剤投与時以降はメトホルミン投与を中止する。撮像後は乳酸アシドーシスの徴候がないか観察する。造影剤投与48 時間後の血清クレアチニン値 /eGFR 値が投与前値から変化してい なければメトホルミンの投与を再開する。

2.3.2 ガドリニウム造影剤

メトホルミン投与中の糖尿病患者にガドリニウム造影剤を投与する際の注意事項は特にない。

2.4 造影剤の投与と透析

ヨード造影剤およびガドリニウム造影剤のいずれも血液透析または腹 膜透析により除去される。しかしながら、腎機能障害がみられる患者 において血液透析が造影剤腎症または腎性全身性線維症(NSF)の予 防に有効であるというエビデンスはない。いかなる患者においても、 過剰な浸透圧・輸液負荷は避けること。NSF リスクの回避については、 1.3.2. を参照すること。

透析患者

血液透析
ヨード造影剤
  • 造影剤投与と血液透析の時間的関係を考慮する 必要はない。
  • 造影剤の除去を目的とした血液透析を追加する 必要はない。

ガドリニウム造影剤
  • 造影剤投与と血液透析の時間的関係を考慮する ことが望ましい。
  • 撮像後は、造影剤の除去を目的とした血液透析 をできるだけ速やかに実施することが望ましい。

 連続携行式 腹膜透析
  • 造影剤の除去を目的とした血液透析はヨード造 影剤の場合には不要であるが、ガドリニウム造 影剤の場合には必要である。紹介医と相談する こと。

  • 造影剤の除去を目的とした血液透析はヨード造 影剤の場合には不要であるが、ガドリニウム造 影剤の場合には必要である。紹介医と相談する こと。

3.1 造影剤の血管外漏出

損傷の種類
  • ほとんどの損傷は軽度である。
  • 重度損傷:皮膚潰瘍、軟部組織壊死、コンパートメント症候群

危険因子

 手技関連
  • 自動注入器の使用
  • 注入部位が至適ではない(下肢、末梢小静脈など)。
  • 造影剤の大量投与
  • 高浸透圧の造影剤
患者関連
  • 意思疎通ができない
  • 静脈が脆弱または静脈に損傷がある。
  • 動脈不全
  • リンパおよび/または静脈ドレナージの低下
  • 肥満
リスク低減の ための措置
  • 静脈内注入の際には、常に細心の注意を払い、 注入速度に適した静脈を選び、適切なサイズの プラスチックカニューラを用いて注入する。
  • 生理食塩水でテスト注入する。
  • 非イオン性ヨード造影剤を使用する。
治療
  • 治療
    • 患肢挙上
    • アイスパックを当てる。
    • 注意深くモニタリングする。
  • 重篤な損傷が疑われる場合、外科医の助言を求める。

3.2 ヨード造影剤肺への有害作用

肺への有害作用
  • 気管支痙攣
  • 肺血管抵抗上昇
  • 肺水腫
高リスク患者
  • 喘息の病歴
  • 肺高血圧の病歴
  • 初期心不全
肺への有害作用のリスク低減のための措置
  • 低浸透圧または等浸透圧の造影剤を使用する。
  • 造影剤の大量投与を避ける。

3.3 ヨード造影剤の血液および血管内皮への作用

血液および血管内皮に対するヨード造影剤の臨床上重大な有害作用は 血栓症

以下のことが確認されている:
  • すべての造影剤、特にイオン性造影剤には抗凝固作用がある。
  • 高浸透圧イオン性造影剤は、特に静脈造影の場合、内皮損傷により血栓症を引き起こす可能性がある。
  • インターベンションにおいては、血栓塞栓性合併症のリスクを低減する薬剤およびインターベンションデバイスを用いることで、造影剤の有害作用が緩和される。

ガイドライン

  • 血管造影は細心の注意を払って行うことが必須であり、血栓塞栓性合併症を抑制する上で最も重要なファクターである。
  • 診断的血管造影およびインターベンションでの血管造影(静脈造影 を含む)では、低浸透圧または等浸透圧造影剤を使用する。

3.4 造影剤とカテコールアミン産生腫瘍(褐色細胞腫および傍神経節腫)

前処置

  1. ヨード造影剤またはガドリニウム造影剤の静脈内投与を実施する前:特に前処置は必要ない。
  2. ヨード造影剤動脈内投与を実施する前:紹介医の監督下でαおよびβ遮断薬の経口投与を行うことが推奨される。

使用すべき造影剤の種類

ヨード造影剤:非イオン性
ガドリニウム造影剤:イオン性または非イオン性のいずれも可

3.5 妊婦およ

妊婦
  1. 妊婦において、X 線 a)妊婦において、造影 検査を絶対に実施し なければならない特 別な事情がある場合、 ヨード造影剤を投与 してもよい。
  2. 妊婦にヨード造影剤 を投与した場合、分 娩後1週間以内に新 生児の甲状腺機能を 確認すること。
  1. 妊婦において、造影 検査を絶対に実施し なければならない特 別な事情がある場合、 ヨード造影剤を投与 してもよい。 MR 検査の明確な適 応がある場合、安定 性の高いガドリニウ ム造影剤(1.3.2. 造影 剤:NSF リスク中程 度~低を参照)を必要 最低用量で投与して もよい。
  2. 妊婦にガドリニウム 造影剤を投与した場 合、新生児の検査は 必要ない。
授乳婦
授乳婦にヨード造影剤を投与した場合、授乳は通常通り継続してよい。
NSF 高リスクのガドリ ニウム造影剤の場合、投 与後24時間は授乳を避け る。
腎機能障害のあ る妊婦および授 乳婦
腎臓の副作用(2.1.)を参 照。胎児および新生児に 対する予防措置を追加す る必要はない。
ガドリニウム造影剤を投 与しない。

3.6 他の薬剤および臨床一般的勧告査との相互作用

一般的勧告
患者の薬歴に注意する。
造影剤の投与に関する適切な記録をとる(時刻、投与量、名前)。
チューブやシリンジ内で造影剤を

特に注意の必要な薬剤

メトホルミン
腎臓の副作用(2.1.)を参照
腎毒性薬剤
シクロスポリン
シスプラチン
アミノグリコシド系薬
非ステロイド性抗炎症薬
腎臓の副作用(2.1.)を参照
β遮断薬
β遮断薬は気管支痙攣に対する治療効果およびアドレナリンに対する反応性を減弱する可能性がある。
インターロイキン -2
遅発性副作用(1.2.)を参照

生化学検査

勧告
造影剤投与後24時間以内に緊急性の ない生化学検査(採血および採尿)は 行わない。

アイソトープを用いた検査および/または治療

甲状腺
放射性ヨウ素を用いた治療を行う患 者では、治療開始前の少なくとも 2ヵ月間はヨード造影剤を投与して はならない。
ヨード造影剤の投与後2ヵ月間は甲 状腺のアイソトープ画像検査を行わ ない。
骨、赤血球標識
アイソトープ検査前の少なくとも24 時間はヨード造影剤を投与しない。

3.7 超音波造影剤の安全性

特長
超音波造影剤は概して安全である。
禁忌
重度心疾患(NYHA 分類III~IV度 など)
副作用の種類および重症度
  • ほとんどの副作用(頭痛、悪心、 熱感、味覚変化など)は軽度で自 然に寛解する。
  • より重度の急性副作用が発現する ことはまれで、発現リスクはヨー ド造影剤とガドリニウム造影剤で 同様である(1.1. 参照)。
リスク低減のための措置
  • 造影剤の各成分に対する不耐性を確認する。
  • 診断検査が可能な範囲で超音波出力を最低レベルに、スキャン時間を最短にする。
治療
重篤な事象が発現した場合、腎臓以外の副作用の項を参照

3.8 バリウム造影剤の安全性

禁忌
腸壁構造の障害
水溶性ヨード造影剤を使用する。
新生児ならびに縦隔および/または肺への漏入のリスクがある患者では、低浸透圧または等浸透圧の造影剤を使用する。

バリウム製剤に対するアレルギー反応の既往
水溶性ヨード造影剤を使用し、反応が発現した場合に治療できるよう準備しておく。
注意
腸狭窄
少量のみ使用する。

広範囲の大腸炎
バリウム注腸を避ける。
合併症
腸運動の低下
水分摂取を推奨する。

静脈内への漏入
  • 早期確認および注意深い観察
  • 抗菌薬および静脈内輸液
  • 緊急治療が必要となる場合がある。

誤嚥
  • 多量の誤嚥の場合は気管支鏡的に除去
  • 胸部理学療法
  • 抗菌薬